肌のバリア機能を知って美肌を作る!

11月12日は「皮膚の日」です。
「イイヒフ」のごろ合わせで、1989年に日本臨床皮膚科医会が制定しました。
秋が深まり始めるこの時期は空気が乾燥し、手荒れや顔のつっぱり感など、肌の潤い不足が気になってくる頃でもあります。
人間の体の表面を覆っている皮膚には、紫外線や気温などの刺激から体を守り、体内の水分を保持、異物の侵入を防止、体温調節など、体を正常に保つ大切な働きがあります。
このように肌には、外敵から体を守ってくれる「肌のバリア機能」が備わっています。これがきちんと働くことが、美肌にも繋がっています。
バリア機能がうまく作用しないと、乾燥肌、敏感肌、シミ・シワなどの一因になります。アトピー性皮膚炎も何らかの原因により、肌のバリア機能が正常に働いていない状態です。
肌のバリア機能は、主に皮脂膜と角層によって保たれています。
<皮脂膜>
肌の一番外側を覆っているのが皮脂膜。油分によって水分の蒸発を防いだり、肌を弱酸性に保ち、悪い菌から肌を守るなどの役割があります。健康な皮膚を保つためには、適度な量の皮脂が必要です。
<角層>
肌はいくつもの層になっており、肌表面の層を「角層」と呼びます。新しい肌となる細胞は下層で作られ、表面の細胞が垢としてはがれ落ちることで、新しい肌が表面に出てきます。
角層は(角層細胞)と(細胞間脂質)で構成されています。
(角層細胞)
「NFM(Natural Moisturizing Factorの略、天然保湿因子)」という、細胞内に潤いを蓄える機能があり、アミノ酸や尿素などで構成されています。尿素はハンドクリームでもおなじみの成分です。
(細胞間脂質)
細胞どうしの隙間を満たし、肌の弾力や潤いを保持する機能があります。その細胞間脂質の約半分を占めているのは「セラミド」というもの。セラミドが肌にあることで、瑞々しさが保たれます。
■肌のバリア機能を保つには
<洗い方>
肌は弱酸性に保たれることで、バリア機能がきちんと働きます。
洗顔や入浴は肌を清潔に保つためにも、もちろん大切なことなのですが、お湯やボディーソープ、洗顔料などを使うと、必用以上に皮脂膜を落としすぎてしまい、皮膚のバリア機能が弱くなってしまいます。
洗顔料やボディーソープは、低刺激で皮脂膜を落とし過ぎないタイプを使用すると良いでしょう。そして、ゴシゴシ強く洗わずに、泡で優しく洗うようにします。
<保湿>
湿度が低い秋冬は、肌の水分が出て行きやすいです。
洗顔後は、できるだけ早くスキンケアをするようにしましょう。化粧水で水分を補い、必ず油分を含む乳液やクリームでカバーします。化粧水だけでは水分が蒸発してしまいます。
顔以外の部分の肌も、皮脂の分泌が少なく外部の影響を受けやすい手脚を中心に、入浴後にはボディークリームを塗るなどの対策を。
肌を乾燥させてしまう原因として落とし穴なのが、濡れた肌や半乾きの状態のままにしておくこと。付着している水分が蒸発するときに、肌の水分も奪っていくのです。きちんと拭くことを心がけてくださいね。
<食べ物>
スキンケアで外側から補うことも必要ですが、内側から補うことはそれ以上に大切です。
肌の新陳代謝(ターンオーバー)を良くするためには、食事から肌の材料をチャージしましょう。
肌だけでなく、全身の組織を作る元であるタンパク質(魚・肉・卵・大豆など)、ビタミン各種(野菜・果物)や亜鉛(牡蠣・ごまなど)、マグネシウム(大豆・貝・ナッツ類など)のミネラルを意識して摂るようにしましょう。
また、ホルモンや細胞膜の原料となる油脂も、適量を摂ります。不足すると、カサカサの潤いのない肌になってしまいます。
酸化した油の多い加工食品は避け、サラダ油よりも、オリーブオイル、ゴマ油、ココナッツオイル、アマニ油、エゴマ油などがおすすめ。
<紫外線>
紫外線は肌にダメージを与えます。
セラミドの合成力が低下して乾燥肌になり、バリア機能が低下。肌は過敏になり肌荒れやかゆみなどの原因となります。紫外線の強い春から夏にかけては、日焼け止めや日傘を利用し、しっかり保湿も行うようにしましょう。
<睡眠>
成長ホルモンの分泌される時間帯は、22~2時 ごろです。この時間帯に睡眠を取ることで、肌のバリア機能がアップします。22時に布団に入るのは難しいと思いますが、この時間帯に少しでも多く睡眠時間を確保するようにしたいもの。
日本臨床皮膚科医会HP http://www.jocd.org/
今回のまとめ
高級な化粧品で特別なケアをしなくても、日常のちょっとしたことで肌の状態は良くなります。
今現在のケアが、数年後の肌に影響するとも言われているので、怠ることなくやっていきたいものですね。