野菜ジュースを飲めば、野菜を食べるのと同じ効果がある!?

美容や健康に関心があっても、忙しくてなかなか十分な野菜を食べられない。
そんな現代人に手軽さが受け人気があるのが野菜ジュースです。
「1本で○g分の野菜が摂れる」、「1日分の野菜がこれ1本でOK」等といったキャッチコピーで販売されていますが、果たして本当に野菜ジュースを飲めば野菜を食べるのと同じ効果があるのでしょうか?
■"野菜"なのに、ビタミンCは期待できない
野菜ジュースは実にたくさんの種類が市販されていますが、細かい基準はなく一般的に野菜汁のみ、もしくは食塩を添加したもので果汁(野菜汁)100%のものを指します。
果汁50%以上かつ野菜汁と果汁のみだと、果実・野菜ミックスジュースと表記、果汁(野菜汁)100%のもののみ「ジュース」と表記することができます。
市販の野菜ジュースの多くは、「濃縮還元」という製法によって作られています。「濃縮還元」とは、搾った果汁(野菜汁)に加熱などの方法で水分を飛ばし、4~6倍程度まで濃縮後冷凍、使用時に水を加えて元の濃度に戻すという製法。
保存がきき、かさが減るため運搬費が安く済むというメリットがあり、広く用いられているものです。ですので、果汁(野菜汁)100%といっても完全に野菜や果物だけでできているのではなく、水が加えられています。
このような濃縮をせずに、果汁や野菜汁だけでできている商品もあります。こうしたジュースは「ストレート」と表示されています。味や風味は断然こちらのほうが上ですが、やはり商品ですから殺菌のためには加熱処理をしなくてはなりません。
このように野菜ジュースができるまでには、濃縮するためや殺菌のために加熱されています。すると熱に弱い酵素は失活し、ビタミンCは激減してしまいます。
つまり、野菜ジュースや果汁のジュースでは酵素とビタミンCはまったく期待できません。
例えばビタミンCを摂ろうとオレンジジュースを飲んでも、ほとんど摂れないと考えたほうが良いでしょう。ただし、ものによってはビタミンCを添加していることがありますので、もしジュースからビタミンCを取りたい場合は表示をよく見て選んでください。
そしてもう一つ、本物の野菜とは決定的に異なるのが食物繊維です。
食物繊維には「不溶性」と「水溶性」の2種がありますが、野菜や果物を絞ってジュースになる段階で、飲みやすくするために「不溶性食物繊維」を取り除いてしまします。
一方、水に溶ける性質を持つ「水溶性食物繊維」は、野菜や果物の水分にも溶けているため、ジュースになってもある程度は残っていると思われます。
しかしながら、国民生活センターの調べによると、野菜系飲料の 1 パッケージ(200ml)当りの食物繊維量は緑黄色野菜 120g 当たりに含まれる量(推定値)と比べると、ほとんどの商品が半分以下だそうです。
■野菜ジュースは野菜の代わりにはならない!
「1本で1日分の野菜を使用」などと表示された野菜ジュース類の多くは、厚生労働省が推奨する1日の野菜摂取量350gを下回る量の栄養素しか含んでいないことが、名古屋市消費生活センターの実施した成分分析でわかっています。
実際に使用した野菜の量に対し、野菜ジュースになると含まれるほとんどの栄養素は少なくなっています。
これは、野菜350gを「原料」としているだけであって、栄養素もそのままという訳ではないのです。
このように野菜ジュースは野菜そのものとは違いますから、あくまでも補助的なもの位置づけましょう。
また、野菜の種類によってもそれぞれに含まれる栄養素は違いますので、ジュースの場合も含まれる栄養素は商品によって異なります。
栄養素を補うためにビタミンやミネラルを添加している商品もあるので、パッケージの表示を参考にしてみてください。
野菜ジュースを飲んだからと安心せずに、例えば野菜ジュースは小鉢 1 皿程度と考えるなどして、食事に上手にとり入れていくのが賢い利用方法です。
同じ野菜ジュースを飲むならパック入りやペットボトルのものよりも、生野菜や生の果物で作られたジューススタンドのフレッシュジュースや、自宅でミキサーで作ったもののほうが、栄養価が高いです。
そしてジュースを飲むのと本物の野菜を食べるのとでは、咀嚼の面でも当然まったく違います。
野菜をよく噛んで食べることにより消化・吸収が良くなりますし、食欲が適切になるよう抑制したり、満腹感が得られる効果があるので、よく噛むほどダイエット効果も高まります。
今回のまとめ
野菜ジュースをおやつ代わりに飲んだり、ファーストフード店でのドリンクは野菜ジュースにするのは◎です。
野菜を食べたのと同じではないので、本物のおいしい野菜をたくさん食べてキレイになりましょう!